久松先生の書は、書の生まれ出る根源からの躍動の正にその具現である。それは私の全能力をあげて少しでも多くをそこから引き出すべき典例であって、たまたま外にある一作品では断じてないのである。 「きびしさと慈味、筆の刻みの深さと鋭さそして柔らかさ、一毫もゆるがせにしない真実さと、天衣無縫の自在さ」そして、品格の高さ。これは、当世はやりの稚拙ぶり、悪ぶってみせようとする俗流を思うとき、普通の意味の品格を越えて、全く新しいめざめとしての品と格を提示されているように思う。 【森田子龍】